いきなりですが、就活に正解はあると思いますか?
今の時代、本やインターネットの情報サイトなど、山のように就活ノウハウは溢れかえっています。
仮にそうしたノウハウを全部身に着けることができたとしたら、志望企業の内定は絶対に獲得できるのでしょうか?また、ずっと自分が憧れていた一流企業の内定を貰えたら、その就活は正解だと思えますか?
ずばり結論から言ってしまうと、就活に正解なんてありません。
それに気づかず正解を求めて就活を行うと、精神的に追い詰められてただただ苦しいだけ。挙句には『就活ウツ』と呼ばれる状態にまで陥ってしまうことさえあるのです。
そうならないために、ぜひこのコラムを最後までお読みいただき、就活を進める上での心構えとしてください。
就活ノウハウに正解なんてない!?
一生懸命自己分析もしたし、企業研究も完ぺきにやりきって、面接では満足のいく通り自己PRもできた!それなのに内定が貰えなかったら、多くの学生は一体自分のどこがダメだったのだろう、と悩むことでしょう。
エントリーシートを見直し、自己PRを練り直し、今度こそは内定を貰うぞ、と意気込んで違う企業の試験に臨んだにも関わらず、またしても内定が取れなかった・・・。
こんなことを繰り返していたら、ノイローゼになってしまうでしょうね。それこそ冒頭でも触れた『就活ウツ』まっしぐらです。
しかし実は、内定を貰えるか貰えないかは、就活ノウハウとはあまり関係ないことが多いのです。
例えば面接の際、部屋のドアは3回ノックする、というのが昨今は一般的な就活マナーとされています。
しかし、実際は何回でも選考には影響しません。仮にノックを忘れていきなりドアを開けてしまったとしても、それで落とされることはありません。
もしそんなことで落とす企業があるとすれば、入社してからもいろいろ堅苦しい規則で苦労することは目に見えていますので、落とされてラッキーくらいに思っておけばいいのです。
そもそもエントリーシートはじっくり読まれない
また、就活には欠かせないとされているエントリーシート。実際はそれほど大きな役割を果たしていないって知っていましたか?
でもどの就活ノウハウを読んでも、選考を突破するためにはエントリーシートが大切と書いてありますよね。
しかし大企業などは、何千、何万と集まるエントリーシートを隅から隅までじっくり読む余裕はありません。
奇抜なエピソードを書けば人事の目に留まる、ということもありますが、そのエピソード以外に取り立てて魅力を感じなければ、不採用の山に分けられてしまいます。
逆にあまり学生が集まらない企業の場合は、エントリーシートでふるいにかけるだけの余裕がありません。表向きはエントリーシートで選考しました、という形にして、実際には全員を筆記試験に呼ぶのはもちろん、一次面接までは無条件で全員呼ぶという企業だってあるのです。
特に近年は売り手市場であり、中小企業などでは思うように学生が取れないため、こうした傾向が強くなっています。
エントリーシートがどうしても通らない時、就活ノウハウに従って見直すことは必要ですが、そのことにあまりこだわるべきではありません。
どんなに素晴らしいエントリーシートでも、採用担当者の心に響かないことだってあります。こればかりは相性ですから、学生側でどうこうできる問題ではないのです。
エントリーシートは通ればラッキー、駄目でも落ち込まずに、大勢の学生が集中しそうな企業は諦めて、ほぼ無条件でエントリーシートが通りそうな企業を見つける方がはるかに効率的です。
要するに、就活ノウハウは最低限抑えておきたい知識、くらいに考えて、あまりこだわりすぎないようにしてください。
会社選びの正解なんてわからない!?
誰もが名前を知っていて、世間では一流と呼ばれる企業に内定が決まったとして、大抵の学生はこれで自分は勝ち組、この就活は正解だったと思うことでしょう。
この考え方は決して間違いではありません。少なくともこの時点では、いわゆる就活の勝ち組となった自分を大いに誇るべきです。
ただし、将来のことまではわかりません。大企業に入ったけど、実際の仕事は自分が考えていたような華やかなものではなかった、とがっかりすることもあるかもしれません。
筆者が考えるに、満足のいく就活を行い、マッチングも完ぺきだった学生でも、入社した後には何らかのギャップや違和感を覚えるのが当然です。
なぜなら学校と企業は全く違う世界ですから、それまでの常識は通用しないことが多く、違和感だらけと言っても過言ではないからです。
従って入社した後にギャップを覚えたからと言って、その就活が失敗だったと言い切ることはできません。
また単なるギャップではなく、実際に仕事はつまらないし、休みも少なくて、人間関係も最低。運悪くそんな企業に入ってしまったとしても、ああ、この就活は失敗だったな、と落ち込む必要はありません。
早い話、新卒で入った企業が自分に合わなければ、転職すればいいのです。
ですから就活の間は、どの企業に就職するのが正解か、ということは考えても意味がない、と割り切ってしまいましょう。
採用する側にも正解なんてない!?
筆者は長年、企業の新卒採用を担当していましたが、結局、どんな学生を採用するのが正解なのか、未だにわかりません。
もちろん、リーダーシップがあり、コミュニケーション能力が高く、論理的思考ができて、主体的に行動できる学生なら、是非とも採用したいと考えます。
しかし就活という限られた期間で、学生の本当の能力を見極めることは不可能です。
今の学生は就活ノウハウに長けていますから、エントリーシートの書き方や自己アピールの仕方に優れ、SPI対策も完ぺき。面接でははきはきと明るく振る舞うことができて、マナーも火の打ちどころがない。そんな学生も珍しくありません。
ところがそうした学生が実際に入社すると、マニュアル通りにしか行動できなかったり、言っていることは立派でも行動が伴わなかったり、とがっかりしてしまうことがあります。
逆に、採用の時は、コミュニケーション能力も低く、リーダーシップも期待できなかったような学生が、根気強く丁寧な仕事をこなし、配属先の上司からも、いい人材を採用してくれた、と感謝されたこともあるのです。
就活に正解はない!見つけるもの
採用する側でさえ何が正解かわかっていないのですから、学生側にそれがわかるはずもありませんね。
身も蓋もない話ですが、結局のところ就活なんて運と採用側との相性です。
くれぐれも就活に正解を求めるようなことはしないでくださいね。